○嵐山町議会議員政治倫理条例
平成19年6月8日
条例第17号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 政治倫理基準(第5条―第9条)
第3章 政治倫理審査会(第10条―第18条)
第4章 補則(第19条)
附則
地方分権が進行する中で、嵐山町議会は、町民から信頼される議会を目指して、そのあり方を検討し、実際に多くの改革を実行してきた。
今日、議会が、地方分権と町民参画の流れに対応し、町民からの一層の信頼を得るためには、議員と町民が選挙で成立した負託関係を日常的に履行する仕組みが求められている。すなわち、議員は、政治倫理を高め、活動することは当然の責務であり、誇りをもって町政を担い、説明責任を果たし、町民は、議員を信頼し、必要な場合に議員の活動について説明を求めることができる仕組みを創設することが必要である。
よって、ここに嵐山町議会は、政治倫理条例を発議する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会の役割並びに議員及び町民の責務を明確にし、政治倫理を確立するために議員として活動する際に遵守すべき行動基準(以下「政治倫理基準」という。)を定めるとともに、町民が議員の活動について説明を求め、議員に説明を義務付ける審査機関を設けることにより、議会が町民から信頼を得て、公正、清浄で民主的な町政の発展に寄与することを目的とする。
(議会の役割)
第2条 議会は、町民の意思が正しく反映されるために、町民の意見及び要望に耳を傾け、町民生活の実情を把握し、町政の共同運営者として政策の提案を行う。
2 議会は、町政全般が適正に行われているかを調査、点検、評価及び監視する。
3 議会は、町民の福祉と生活の向上及び町の発展を目指すことを使命とし、町民の様々な問題の解決と町の将来を見据えた活動に努める。
(議員の責務)
第3条 議員は、町民全体の代表として町政にかかわる権能と責務を深く自覚し、政治倫理基準を遵守して活動する。
2 議員は、自ら研さんを積み、資質を高め及び品位を保ち、その使命達成に努める。
3 議員は、自らの公約に掲げた政策の実現に努力するとともに、情報公開の原則に基づき議会及び議員の活動を積極的に町民に明らかにし、その説明責任を果たす。
4 議員は、法令及び条例を遵守し、公正な職務執行を妨げるいかなる不当な要求にも屈しない。
(町民の責務)
第4条 町民は、町民の代表たる議員に信頼を寄せるとともに、議員が地方自治の本旨に即し誠実に行動し、公約の実現に向けて努力することを求める。
2 町民は、議員に対し、政治倫理基準を逸脱するいかなる行為も求めない。
3 町民は、主権者としての自覚と誇りをもって議会を監視し、積極的に議員及び議会をとおして町政運営に参画する。
4 町民は、町民の代表たる議員の活動及び政治姿勢に注目し、議員が説明責任を果たすことを求める。
第2章 政治倫理基準
(不正な影響力の行使の禁止)
第5条 議員は、町の職員又は町が資本金その他これに準ずるものを出資し、又は拠出している公益法人(以下「出資団体」という。)若しくは指定管理者の役職員に対し、その権限又は地位を利用することにより、利害誘導を行い、又は公正な職務執行を妨げ、又は妨げるような働きかけをしてはならない。
(提言等をしたときの記録義務)
第6条 議員は、町の職員又は出資団体若しくは指定管理者の役職員に対し、その職務に関し、口頭又は文書により提言、意見、要望及び依頼(以下「提言等」という。)をしたときは、口頭による場合はその内容を記録した文書(以下「記録文書」という。)を、文書による場合はその文書の写し(以下「文書の写し」という。)を、提言等をしたときから10日以内に議長に提出しなければならない。ただし、公開の場等で提言等をしたとき又は軽易な事項について提言等をしたときは、この限りでない。
2 議長は、前項の規定により提出された記録文書及び文書の写しを提出した議員の在任期間中、町民の閲覧に供しなければならない。
(兼業の報告義務)
第7条 議員は、議員となったときに、議員本人及び配偶者又は同居の親族(以下「議員及び親族等」という。)が事業を営んでいる場合並びに次の各号のいずれかに該当する法人又はその他の団体(出資団体を除く。以下「法人等」という。)の取締役、理事、監査役、監事、顧問若しくはこれらに準ずる職(以下「取締役等」という。)に就いている場合は、議員となった日から30日以内に、兼業報告書(以下「報告書」という。)を議長に提出しなければならない。
(1) 主として収益事業を営むもの
(2) 町の許認可が必要な事業を営むもの
(3) 町が交付する補助金(以下「補助金」という。)を受け、又は受けようとするもの
3 議員は、前2項の規定により提出した報告書の内容に変更があったとき又は自ら事業を営むことをやめたとき若しくは法人等の取締役等を離職したときは、遅滞なくその旨を記載した届出書を議長に提出しなければならない。
(町公共事業等契約に関する遵守事項)
第8条 議員及び親族等が取締役等に就いている法人等は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2の規定を遵守し、町が発注する工事の請負契約及び業務委託契約並びに備品納入契約を辞退するものとする。ただし、規則で定めるものについては、この限りでない。
2 議員は、町民に疑惑の念を生じさせないため、責任をもって前項の関係者の同意を得て、辞退届を議員の任期開始の日から30日以内に議長に提出するものとする。
3 議長は、前項の辞退届を受理したときは辞退届の写しを町長に送付するものとする。
(人権侵害のおそれのある行為の禁止)
第9条 議員は、その地位を利用して、嫌がらせをし、強制し、又は圧力をかける行為をしてはならない。
2 議員は、セクシュアル・ハラスメント(他の者が不快に感じる性的な言動をいう。)に当たる行為その他人権侵害のおそれのある行為をしてはならない。
第3章 政治倫理審査会
(設置)
第10条 議会に、嵐山町議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 前項に定めるもののほか、議長の求めに応じ、政治倫理の確立のため必要な事項について調査し、その結果を議会に報告し、又は建議することができる。
(組織等)
第12条 審査会は、次に掲げる者につき、議長が選任する委員5人をもって組織する。
(1) 知識経験者 2人
(2) 町民 3人
2 審査会の委員は、原則として男女いずれか一方の性が委員総数の4割未満にならないように選任するものとする。
3 審査会の委員は、その配偶者又は同居の親族が議員になったときは、委員を辞退するものとする。
4 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(任期)
第13条 委員の任期は、議長の求めに対し審査会が報告し、又は建議するまでの間とする。
2 何人も、議員から第9条の規定に違反する行為を受けたときは、その被害者及び代理人は事実関係を記載した書面を添えて、議長に審査を請求することができる。
3 議長は、前2項の規定により審査の請求がなされたときは、審査会にその審査を求めなければならない。ただし、別に定める場合に該当するときは、この限りでない。
(政治倫理の審査、勧告及び公表)
第15条 審査会は、議長から審査を求められたときは、当該審査の請求の適否及び当該事案の存否について審査を行い、文書で議長に審査結果を報告しなければならない。この場合において、審査会は、政治倫理の確立のため必要と認める措置を議会に勧告することができる。
2 審査会は、前項の規定による報告を、審査を求められた日から60日以内に行うよう努めなければならない。
4 議長は、審査会から審査結果の報告を受けたときは、請求人及び被請求議員に対し、その旨を文書で通知するとともに、その概要を公表しなければならない。ただし、別に定める場合に該当するときは、これを公表しないことができる。
(請求人及び被請求議員の協力義務)
第16条 請求人及び被請求議員は、審査会から、審査に必要な資料の提出、審査会への出席、当該審査に係る他方の当事者及び関係人等のプライバシーの保護への配慮その他の協力を求められたときは、これに従わなければならない。
(被請求議員の弁明等)
第17条 被請求議員は、審査会において弁明しようとするときは、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を審査会に提出しなければならない。
2 被請求議員は、前項の規定による弁明書の提出に加え、さらに審査会において口頭により弁明をしようとするときは、その旨を申し出、あらかじめ審査会の承認を受けなければならない。
3 被請求議員は、審査結果について弁明書を、請求人にあっては、審査結果について異議申立書を議長に提出することができる。
(議会の措置)
第18条 議会は、第15条第1項の規定による報告又は勧告を尊重するとともに、当該被請求議員が政治倫理基準に違反したと認められるときは、町民の信頼を回復するために必要な措置を講ずるものとする。
第4章 補則
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年10月16日から施行する。
(経過規定)
2 審査会の設置に関し必要な行為は、この条例の施行前においても行うことができる。
3 第14条の規定は、この条例の施行日前になされた議員の行為については、適用しない。
附則(令和2年条例第12号)
この条例は、令和2年4月1日から施行する。