○緑と清流・オオムラサキが舞う嵐山町ストップ温暖化条例

平成23年6月10日

条例第16号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 基本的な考え方(第3条―第7条)

第3章 地球温暖化対策への取組み(第8条―第16条)

第4章 ストップ温暖化推進委員会(第17条―第21条)

第5章 その他(第22条・第23条)

附則

私たちの住む嵐山町は、武蔵の国比企丘陵の中核にあって、緑豊かな山河に恵まれた、国蝶オオムラサキが舞う町です。

この小さな町にも、近年地球温暖化の現象が見られるようになりました。「里山の落ち葉の時期が変わってきている。」、「この地域では生息していなかった昆虫がみられるようになった。」、「高温で畑の作物が生育しない。」、こんな声を里山保全や、農林業に携わる人から伝えられました。

世界の各地からも、海面上昇による島の消滅、海水温度変化による魚類の生態の変化やサンゴの消滅、砂漠化の拡大、洪水や豪雨など、深刻な気候変動が報告されています。

これまで、人間が築き上げた文明社会は、生産や消費など私たちの生活のあらゆる場面でCO2を排出し続けてきました。その結果、地球の自然のバランスが崩れ始め、私たち人間を含むすべての生き物の命に危険な状況をもたらしています。私たちは、かけがえのないこの星に生まれ、何億年と続いた命の連鎖を私たちの時代で終わらせることなく、未来につなげる責任があります。

「地球を守ろう」と危機を感じた人々が声をあげ、地球温暖化防止のための国際的枠組みも作られました。「私たちに出来ることから始めよう。」、「森林を減らさない。」、「フードマイレ―ジを考えた消費を。」という声を聞きました。人間が作ってきた負の環境を、人間の知恵で改善することはできるはずです。

今私たちに出来ることは、CO2の排出量を最小限に留める仕組みに変え、低炭素型社会へ一歩一歩進めて行くことです。嵐山町の緑と清流、国蝶オオムラサキが舞う環境を遥か未来の人達に手渡すことが出来るよう、思いを込めてここに緑と清流・オオムラサキが舞う嵐山町ストップ温暖化条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、嵐山町環境基本条例(平成23年条例第12号)第3条の基本理念に基づき、低炭素型社会のまちづくりを進めることにより、地球温暖化を抑え持続可能な地球環境に寄与し、現在及び次世代のすべての町に関わる人の健康と豊かな生活に貢献することを目的とします。

(ことばの意味)

第2条 この条例で用いられることばの意味は、次に掲げるとおりです。

(1) CO2 二酸化炭素のことをいいます。

(2) 地球温暖化 人々の活動に伴い発生するCO2などが増加することによって、地球全体の地表と大気の温度を上昇させる現象をいいます。

(3) フードマイレージ 食料が消費者に届くまで、どれくらいの距離を輸送されてきたのか数字で表したものです。

(4) 低炭素型社会 人々の活動に伴い発生するCO2の量が少なく、地球全体の環境保全に貢献する社会をいいます。

(5) 地球温暖化対策 人々の活動に伴い発生するCO2の量を減らすなど、地球温暖化の防止に役立つ方法をいいます。

(6) 町民 町内に住んでいる人、町内の事業所や学校などで働き学ぶ人をいいます。

(7) 事業者 企業、その他の団体や個人事業者をいいます。

(8) 温室効果ガス 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)第2条第3項に規定するガス(CO2、メタンなど6種類のガス)をいいます。

(9) エネルギー事業者 電気やガスなどのエネルギーを供給する事業者をいいます。

(10) 京都議定書目標達成計画 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書に基づき、政府が定めた計画をいいます。

(11) 環境マネジメントシステム 「計画、実行、評価、見直し」の繰り返しにより、環境により良い行動を継続的に行う仕組み、ISO14001及びエコアクション21などをいいます。

(12) 嵐山町エコシステム 町が構築する公共施設、家庭及び個人事業者などを対象にした環境によりよい行動を、継続的に行う簡易な「計画、実行、評価、見直し」の仕組みをいいます。

(13) 環境保全団体等 嵐山町で環境保全をする民間団体、学校、地域の人をいいます。

(14) ウッドマイレージ 木材が利用者に届くまで、どれくらいの距離を輸送されてきたのか数字で表したものです。

(15) 再生可能エネルギー 太陽光や太陽熱、森林資源など、CO2の発生が少なく、繰り返し活用できるエネルギーをいいます。

第2章 基本的な考え方

(基本的な考え方)

第3条 町は、次の考え方に基づいて地球温暖化対策に取り組みます。

(1) 現代に生活している私たちが利便性・快適性を追求した結果として、大量の温室効果ガスの排出をし続けることが地球温暖化の一因であるとの基本的な認識に立ちます。

(2) 京都議定書に基づき世界の行動が進められている今、町においての地球温暖化対策の推進に当たり、低炭素型社会を進めるまちづくりを町、町民及び事業者が協働して実践し、自然豊かな環境を次世代に引き継ぎます。

(対策目標)

第4条 町、町民及び事業者は協働し、次に掲げる地球温暖化対策に取り組み、低炭素型社会のまちづくりを進めます。

(1) 町は、国や県と連携して町のCO2排出量を把握、公表できるように努めます。

(2) 町のCO2排出量の削減目標値を、嵐山町ストップ温暖化地域推進計画(以下「地域推進計画」といいます。)に定めます。

(町の責務)

第5条 町の責任として行わなければならないことは、次のとおりです。

(1) 町は、今後の政策を進めるに当たっての施策は、低炭素型社会の推進に配慮します。

(2) 町は、町民、事業者及び環境保全団体等に対し、町が実施する地球温暖化対策への参加協力を求め、必要な場合は、予算の確保に努め予算の範囲内で支援します。

(町民の責務)

第6条 町民の責任として行わなければならないことは、次のとおりです。

(1) 町民は、日常生活において自主的かつ積極的に地球温暖化対策を実行するよう努めます。

(2) 町民は、町、事業者及び環境保全団体等の地球温暖化対策に協力するよう努めます。

(事業者の責務)

第7条 事業者の責任として行わなければならないことは、次のとおりです。

(1) 事業者は、事業活動を行うとき、温室効果ガス排出量の把握に努めます。ただし、事業活動に関して、国、県に報告義務のある町内の事業者は、CO2排出量にかかる報告書の写しを町に提出するとともに、町が実施する地球温暖化対策に協力します。

(2) 事業者は環境マネジメントシステムを活用してCO2の削減に努めます。

(3) エネルギー事業者は、CO2排出量の算出の基礎になる数値を町に提出するとともに、町の地球温暖化対策に協力します。

第3章 地球温暖化対策への取組み

(地域推進計画)

第8条 町長は、町全体で低炭素型社会を目指し地球温暖化対策を総合的にかつ計画的に進めるため、京都議定書目標達成計画に基づく地域推進計画を町民の意見を聴いて定めます。

2 地域推進計画は、次に掲げる事項を定めます。

(1) 地球温暖化対策に関する計画期間と目標

(2) 地球温暖化対策に関する具体的な施策

(3) その他、地球温暖化対策に関わること。

3 地域推進計画を変更するときは、第1項の規定を準用します。

4 町長は、地域推進計画を定めたときや変更したときは、これを公表します。

(県・近隣市町村等との連携)

第9条 町は、地球温暖化対策を推進するための広域的な取組みについては、県、近隣市町村及び町に関わる一部事務組合と連携して推進します。

(環境に関わる教育や学習)

第10条 町は、町民や事業者の低炭素型社会への生活を推進するため、環境に関わる分野の教育や学習を推進します。

2 町は、こどもたちがCO2の吸収作用を高める里地里山と親しむ事業を推進します。

(嵐山町エコシステム)

第11条 町は、公共施設、家庭及び個人事業者がCO2の排出量を管理しやすい嵐山町エコシステムを構築し、地域推進計画策定時に公表し、活用を推進します。

2 町民、事業者及び環境保全団体等は、嵐山町エコシステムに基づいて低炭素型社会づくりに取り組み、町長に対して計画書や報告書を提出することができます。

3 町長は、大幅にCO2を減らすなどの模範となる低炭素型社会のまちづくりを推進した町民、事業者及び環境保全団体等を積極的に広報紙やホームページで公表します。

(身近な緑との関わり)

第12条 町は、CO2を吸収する里地里山の整備、保全を推進します。

2 町、町民及び環境保全団体等は、里地里山の有効な利用に努めます。

3 町、町民、事業者及び環境保全団体等は、身近な緑の保全と緑の創出に努めます。

(地産地消の推進)

第13条 町は、フードマイレージやウッドマイレージを小さくし、温室効果ガス排出を抑制するために、生産者、事業者及び町民と連携し、農林業の生産物をより身近な地域を優先して消費する仕組みの地産地消を推進します。

2 町は、地球温暖化による農林業の生産物の被害を抑止するために、気候変動に対応する農林業のあり方の情報提供に努め、農林業者に協力し、地場産業を育成します。

(再生可能エネルギーの活用)

第14条 町は、再生可能エネルギーの導入を促進するための施策を推進します。

2 町民と事業者は、日常生活及び事業活動において再生可能エネルギーの利用の促進に努めます。

3 町は、町民が再生可能エネルギーを導入するときは、予算の範囲内で支援します。

(建物に関するエネルギー対策)

第15条 町は、建物から排出されるCO2の削減を図るため、次に掲げるエネルギー対策に取り組みます。

(1) 建物の省エネルギー化

(2) 再生可能エネルギーの導入

(3) 公共施設の建設、増改築に当たり、対象面積が2,000m2以下であっても埼玉県建築物環境配慮制度(平成21年埼玉県告示第1051号)の基準を準用します。

2 町内に新たに住宅、建築物を建築する者は、省エネルギー対策に努めます。

3 住宅・建築物を販売する者は、省エネルギー情報の提供に努めます。

4 町は、町民が住居を環境配慮型のものに改修するときは、町の予算の範囲内で支援します。

(交通対策)

第16条 町は、公共交通機関の利便性向上に努め、町民、事業者は、公共交通機関の利用に努めます。

2 自動車を運転する町民は、温室効果ガスの排出量がより少ない運転(以下「エコドライブ」といいます。)を行うよう努めます。

3 事業者は、その事業用自動車を運転する者に、エコドライブの実施について指導します。

第4章 ストップ温暖化推進委員会

(設置等)

第17条 地球温暖化対策を推進するために、第8条の規定による地域推進計画の策定、計画の実施及び第10条による環境に関わる教育や学習を企画することを目的として、ストップ温暖化推進委員会(以下「推進委員会」といいます。)を設置します。

2 推進委員会は、町の地球温暖化対策の推進について、2年に1度、町長に報告し、町長はこれを公表します。

3 町長は、議会に地球温暖化対策推進についての意見を求めます。

(委員の構成)

第18条 前条に定める推進委員会を構成する委員は、以下の区分(各1人)より10人以内の委員で構成します。ただし、第9号の公募委員は、2人以内とします。

(1) 環境審議会委員

(2) 学校教員

(3) 里地里山委員会委員

(4) 商工会

(5) 農林業者

(6) 花見台工業団地工業会(国、県にCO2排出量報告義務のある事業者)

(7) 小中学校保護者

(8) 知識経験者

(9) 公募による町民

(任期)

第19条 推進委員会の委員の任期は2年とします。ただし、3期を限度とします。

2 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。

(運営)

第20条 推進委員会に会長及び副会長を置きます。

2 会長及び副会長は、委員の互選とします。

3 会長は、委員会の事務を管理し、委員会を代表します。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理します。

5 推進委員会の会議は、公開とします。

6 推進委員会は、第11条第3項による公表者を推薦します。

7 推進委員会は、第17条第1項に定めるもののほか、地球温暖化対策に必要なことを各委員に諮って、行うことができます。

(事務)

第21条 推進委員会の事務は、環境課において処理します。

第5章 その他

(見直し規定)

第22条 本条例は、地球温暖化対策をめぐる技術の進歩や国内外の情勢の変化に合わせて、その都度見直すものとします。

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定めます。

(施行期日)

1 この条例は、平成23年9月1日から施行します。

(地域推進計画の作成)

2 第4条第2号第8条及び第11条については、平成24年度末までに作成します。

(CO2排出量の把握)

3 第4条第1号のうち、エネルギー事業者については、平成26年度末までに把握するよう努めます。

4 第4条第2号については、町のCO2排出量が把握できるまで、環境省が定める簡易策定マニュアルによりCO2排出量を推定し、CO2削減目標を地域推進計画に定めます。

(平成30年条例第4号)

(施行期日)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

緑と清流・オオムラサキが舞う嵐山町ストップ温暖化条例

平成23年6月10日 条例第16号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第10編 生/第6章 環境保全
沿革情報
平成23年6月10日 条例第16号
平成30年3月20日 条例第4号